10月14日(水)17:30分

北海道立工業試験場のロビーには35名の参加者が集まっていました。

HoPE10月例会は、北海道立工業試験場の見学会からスタートです!

まずは鴨田センター長率いるA班と、勝世研究参事率いるB班に分かれてスタートです。

(ちなみに筆者はB班でした)

まずは「X線CTによる内部欠損評価技術」です。

従来の方法では平面での測定しか出来なかったので、立体構造物の欠損部分を調べたくても、高さ方向の位置情報が分からず、その評価が困難でした。ですが、このCTスキャンシステムを利用すると、三次元の情報がいられるので、どの部分に欠損があるのかを正確に評価することが出来ます。

非破壊で検査できるので、電子部品、自動車用部品、樹脂成型品などの工業製品や、生体、薬品(多層錠、カプセル錠など)の分析評価も可能です。

また、様々なデータ解析、画像処理も可能です。

次は「橋梁点検車両(アーム)の開発」です。

高度成長期に建設された橋梁の多くが、今後老朽化時期を迎えます。予防保全することで橋梁の長寿命化が求められています。そのためには定期的な点検による損傷箇所の早期発見が重要ですが、点検するにもコストが掛かってしまいます。

そこで、カメラを搭載した多間接ロボットアームのよって遠隔操作により橋の裏側(桁下部)を点検できる橋梁点検車両「橋竜」を開発し、現在は実用機として2号機を開発しました。点検後のデータ整理、診断長所の作成など、業務全体の効率化も可能となっています。今後は全国的な展開が期待できますね!

次は「生活関連製品開発事例」です。

近年注目を集めている「ユニバーサルデザイン」。人にやさしいものづくりを目指して、北海道立工業試験場でも様々な取り組み、製品開発を行っています。

人間工学を応用し、雪かきの負担を軽減するスコップや、農作業時の腰などへの負担を軽くするアシストスーツ、またシステムキッチンの共同開発(株式会社市村製作所)を行っています。

実際にこれまでの雪かきスコップ(直柄タイプ)と、開発されたスコップ(アルミ屈曲タイプ)で同じ重さの荷物を持ち上げると、腕に掛かる重さが全く違いました!とても軽々と持ち上げることが出来ました!

アシストスーツも介護用途などからも注目を集めています。システムキッチンも全国に販売を展開しています。

使う人への心遣いがビジネスチャンスになるのかもしれませんね。

最後は「セルロース系バイオエタノール製造試験」です。

バイオエタノールというのは、植物を原料として製造したエタノールです。地下資源(石油など)から合成するのではなく、もともと地球上にある植物から製造するので、燃やしても地球上CO2は増えない、カーボンニュートラルな燃料です。

ご存知の通り、お米や麦、ブドウなどを発酵させてお酒を作っているので、簡単に出来るのでは?と思うかもしれません。ですが、お米などの原料を使っていたのでは、コストが高過ぎます。そこで、もっと安く手に入る原料としてサトウキビの搾りかすや、茎の部分といった廃材を利用しています。

その場合、セルロースという非常に硬い繊維を分解する必要があるので、簡単にアルコールを作ることが出来ません。

そこで、硬い繊維をばらばらにするため、蒸煮・爆砕法による処理方法を検討して、より効率よくアルコールを製造する方法を開発しています。

北海道は農業も盛んであり、また資源に恵まれた土地です。そこで廃材をも利用してバイオエタノールを製造することが出来たら・・・

夢は広がりますね!

その後、会場をJSTに移し、道工試の吉成氏から「人にやさしいものづくり」、環境複合研究所の石田所長から「つくる側・つかう側から見たユニバーサル・デザイン」について報告がありました。見学会と報告を通じて、ものづくりの新たな可能性が広がった10月例会となりました。

X線CTによる内部欠損評価技術
橋梁点検車輌(アーム)の開発
生活関連製品開発事例(スコップ)
セルロース系バイオエタノール製造試験
第2部の例会には45名が集いました
北海道立工業試験場の吉成氏
つくる側・つかう側の視点に立ったユニバーサル・デザインを語られた石田氏
ものづくりの新たな可能性に向けて手つなぎ万歳!