12月9日(水)、JSTイノベーションプラザ北海道を会場に、「中小企業と環境ビジネス」をテーマに2人の講師を招いて、それぞれの会社での取り組みについて講演をしていただきました。会場には企業、官公庁、大学関係者など総勢45名の参加がありました。

今月の例会は環境対応研究会との共催ということで、進行役は同研究会の代表を務める株式会社レーザー・プロの藤沢社長が担当されました。

テーマ(1):これからのエコビジネス。海外の環境ビジネス最新事情から

講師:株式会社 プリプレス・センター 代表取締役 藤田 靖 氏

アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市は、札幌と姉妹都市であることをご存知でしたでしょうか?

都市の規模や気候、また農業地帯であることなど、札幌市と似通った部分もあります。ですが、このポートランド市は近年急激に人工が増加し、ハイテク、観光、医療、製造業なども伸びています。いったい何が起きているのでしょうか?

実はポートランド市は早くから環境やエコ活動に取り組んでおり、1970年ころから住民が自主的に活動を始めました。現在では「もっともグリーンでサステナブルな都市」として全米から注目を集め、政策面でも進んできています。特にLEED認証(グリーン建築)は世界基準になりつつあります。

一見不経済と思われがちなエコ活動ですが、住民や企業の意識、政府の取り組みなどによって、大きなビジネスのチャンスがあり、またそれは住民も健康で快適に暮らすことができるのです。

藤田社長曰く、このエコに関するビジネスは、中小企業こそにチャンスはあるとのこと。例えば車も部品交換することでより長く安全に乗ることが出来ます。このようなビジネスは大企業にはなかなか出来ません。

アイディア次第でエコビジネスのチャンスはたくさんあるのかもしれませんね!

テーマ(2):新築端材石膏ボードを使ったライン引き粉の開発

講師:北清企業 株式会社 代表取締役 大嶋 武 氏

北清企業は、もともと廃棄物収集などを行っている企業でした。それが、現在では廃材をリサイクし、新たな商品を開発しています。そこにはどのような苦労や出会いがあったのでしょうか?

石膏ボードは建築物の内装の壁や天井に使われ、防耐火性、遮音性当に優れた材料です。年間500tもの廃石膏ボードが回収されますが、その殆どはリサイクルされること無く処分されています。

廃石膏ボード(新築系)は粉砕、分離等の処理を行い、粉末としてリサイクルすることができますが、「何に使えるのか?」が問題でした。始めは社長自らサンプルを持って100社以上の企業を回って営業活動を行ったそうです。そこで出会ったのが文具を扱う商社の日本理化学工業株式会社でした。

従来の石灰系のグランドラインは児童の視力障害を引き起こすなど危険なものであり、一方石膏ボードを利用すれば安全性の高い運動用「グランドライン」を作ることが可能です。開発と製造を北清企業が担当し、粉末の改質・加工などについては北海道立工業試験場から技術指導を受け、またライン引きの改良なども行いました。そして日本理化学工業とのOEM契約を結び、現在では年間4500tを販売しています。

廃材を見事にリサイクルし、付加価値をつけて販売することに成功した事例です。

社長の地道な努力と粘り強さが、良い出会いも引き寄せ、成功に至ったのだと思います。

報告後の質疑応答でも活発な意見交換が行われ、その熱気は望年会にも持ち越されました。

そして、最後は懇親会にて恒例の手つなぎ万歳で新たな年に向けて気持ちを!

司会の藤沢社長
(株)プリプレス・センター 藤田社長
オレゴン州ポートランド市
北清企業(株) 大嶋社長
活発な質疑応答の様子
2009年最後の手つなぎ万歳!